さそりダンス🦂

面白かったです

ぶ厚くて入院中に読み切れるかなと思ったが、点滴で動けなかったので読み切ってしまった。ブラム・ストーカーの「ドラキュラ」がベースでヘルシング教授が失敗した世界でドラキュラがエリザベス女王の配偶者になった世界を描いている。続編の「鮮血の撃墜王 ドラキュラ紀元一九一八」も購入済みだけれども、こちらもぶ厚いのでいつ読もうか思案中。

創元から「ドラキュラ戦記」として刊行されていたシリーズ二作目も、無事にアトリエサードから再登場。今回は前作の30年後が舞台で、イギリスの権力の座から追われたドラキュラが、皇帝を利用してドイツで再び権力を手に入れ、戦争を推し進めるとともに奇怪なプロジェクトを計画する、改変第一次世界大戦もの。ボウルガードの部下である諜報員ウィンスロップと、前作の脇役でジャーナリストのケイト・リード、さらにドイツ側の実在のエース・パイロット、リヒトホーフェンと彼の自伝を書くことになったポオが話の軸となっていきます。もちろんそこに様々な虚実のキャラクターも大量に登場。訳者による人物事典を参照しないとわからない人も多いですが、好きな作品キャラクターや俳優の登場に思わずニヤリとしてしまったところも。前作同様におまけもたっぷり。前版では割愛されていたという某有名キャラクターが登場する章や、ニューマンによる付記、ロジャー・コーマンと企画した映画のアウトラインなども嬉しいですが、なんといっても目玉は150ページほどのボリュームがある中編、「ヴァンパイア・ロマンス――ドラキュラ紀元一九二三」でしょう。本編の五年後を舞台に、ジュヌヴィエーヴ（前作ヒロイン）とウィンスロップが、長生ヴァンパイアたちが集まる館で謎の犯罪者に挑む、ゴシックなクローズドサークル・ミステリ風の話です。むしろこっちがメインかもしれない、二人の対照的な脇役少女たちもとても魅力的でした。

都市伝説をベースにしたホラーアンソロジー。以下印象に残った作品。（ネタバレではないけど内容には触れてる）『わが愛しの口裂け女』梶尾真治病床の父親から明かされる母との馴れ初め。まあタイトルから彼女が口裂け女だったというのは想像つくが、思いの外、切ない話に落としてきた『コウノトリ』山下定異国で行方不明となった恋人を探し続ける主人公が辿り着いた真相とは。「だるま女」の話をベースにしているのだが、そこからさらに男にとっての恐怖譚に落とし込んでいる『怪人撥条足男』北原尚彦個人的にこのアンソロジーの中で一番面白かった（怖かった）。1870年のロンドンを跋扈する恐怖の怪人を怖いもの知らずの女記者が追う。序盤は新聞社での同僚男性との軽妙なやりとりなどライトミステリ風に楽しく読んでいたらば、後半でバッとひっくり返される。そして生まれ出た新たなる怪物へとつながる（年代的にわかる）ラストに思わず悲鳴『見るなの本』田中啓文小学校の図書室にあるという「見るなの本」。それを見つけたいじめられっ子の主人公が本の中の女の子と自分の共通点に驚いていると……。学校にも家庭にも逃げ場がない二人の子供にひたすら鬱々とした気持ちになる。現実の方が虚構より辛いのかもしれない『名残』斎藤肇幽霊の側から幽霊としての日々を綴るという不思議な話。それでも孤独ではないということだけでこんなにも色合いが変わるんだな『悪魔の教室』友成純一著者らしいエログロ残虐絵巻。少し突き放した描写は筒井康隆みたいな苦笑いを誘う。青春って残酷『伝説の男』牧野修知ったかぶりをしている者を見ると間違いを正さずにおけない性分の緒方。彼が会う人ごとに「それは都市伝説だ」と正すうちに、いつしか彼自身が怪異に巻き込まれていく。最後らしく、有名な都市伝説のオンパレード。ラストまで貫かれていて良かった

各項目ごとに話が分かれて居てとても読みやすかった。気に入って居る。

有名な？都市伝説をプロの作家さんたちが書かれた本ですが、最後までさらっと読めた小説でした。とくに口さけ女には感動してしまいます、値段もたいしてしないし妙な知識がつきますし買いだと思います。

口裂け女やトイレの花子さんなど有名な都市伝説をテーマに、ホラー作家さんたちがそれぞれオリジナルの短編に仕上げた作品集です。読後に、こちらの編者さんのアンソロジーは以前にも読んでいたことに気がつきました。祥伝社文庫の「震える血」「喘ぐ血」「囁く血」のシリーズです。これらは海外のホラー作品を集めたもので、シックなゴシック風カバーに似合わない通俗的なＢ級でコミカルなものがほとんどで、個人的にはあまり好みにあいませんでした。そういうのが持ち味の編者さんなのか？この作品集も、耽美・幻想が持ち味の井上雅彦氏作品までが、言われなければ井上氏が書いたとわからないくらいごく普通のホラーになっていて、文章にもいつものように特に凝ったところもなくてびっくりでした。よかったのは、井上雅彦「飢えている刀鋩」（落ち武者の亡霊テーマですが、その正体はまったく別物でした）、奥田哲也「風聞」（豊臣秀吉の時代に遡る伝説をからませた不可思議なお話）でした。

学校のトイレ、落ち武者、口裂け女など、現代の都市伝説をモチーフにした怪異９編からなります。ホトンドの話が現代の日本、そして海外を舞台にしたもの少々です。おなじみの「この世の者でないもの」たちが、が活躍します。ネタはどこかで聞いた話が多いですが、それを、プロが怪談にすると、・・・怖いです。どれも、これも。ハズレがなかったです。都市伝説がモチーフのためか、日常生活で、もしかして、「あってもおかしくない」ようなリアル感が強かったためでしょうか。９編だけでなく、各話の中で、いろいろな都市伝説が紹介されていて、ちょっとした「物知り」になれます。この金額で、これだけ読めたので、満足！